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【11月2日 「atelier shimura」トークショー】第3回 命が脈々と流れる、アトリエシムラの商品

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「atelier shimura」トークショー
●登壇者:株式会社ATELIER SHIMURA 代表取締役 志村昌司さん
株式会社サン・アド アートディレクター 葛西薫さん
株式会社ほぼ日 代表取締役社長 糸井重里さん
ifs未来研究所 所長 川島蓉子
●開催日:2016年11月2日(水)
 
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第3回 命が脈々と流れる、アトリエシムラの商品
 
●感性の中で織り上げた着物
 
川島: 今日はステキな着物姿の方がたくさんいますが、みなさん、工房の方ですか?
 
志村: そうです。学校の卒業生の子たちが中心で、自分で織った着物を着ています。
 
糸井: それが似合うんだよねえ。
 
志村: はい。とても似合いますね。
 
川島: なんで似合うんでしょうかね?
 
葛西: この前、工房のみなさんにお会いしたときに、自分でお題を作っていました。例えば貝殻とか、それぞれの故郷と関係していたりして、。それを、その人の感性の中で織りあげていくそうです。
 
川島: それぞれの着物に、ちゃんとテーマがあるんですね。
 
糸井: 。自己認識がしっかりしているんですよ。似合わないけれど作っちゃうなんてことは、きっと彼女らにはあり得ないんです。これは。人格と一体だと思います。驚きますね。
 
川島: そうすると、一般の着物を着たい人はどうしたらいいんでしょうか?
 
糸井: 試着…「お見立て」してもらうのがいいのでしょうね。
 
川島: そうですね。
この前、日本語も流暢にお話するフランス人で、あるブランドの経営者の方が面白いことを言っていました。「日本人の女性は、着物を着ると人格が2つに分かれる」と。
つまり、洋服を着たときの人格と、着物のときの人格が違う、と言うんですよ。頷いていますが、糸井さん分かる気がしますか?
 
糸井: その人が言うなら、そうだろうなあ(笑)。そう思う機会があったんでしょうね、何か。
 
川島: そのときも奥様とご一緒だったのですが、奥様がそうだと言うんですよ。着物を着るとちょっと違う人になっちゃうんだそうです。それを聞いて私は、着てみたら違うのかな、とちょっと好奇心が湧いたわけです。
 
糸井: 川島さんはその変身願望を、満たすべきです(笑)。
 
川島: 女の人ってそういうところがありますよね。糸井さんは、着たことありますか?
 
糸井: なくはないです。ただ、日本で着物を着ている男の人って、怪しい人とか多いので、これからそこをどうしようかな、と思ってね。なんかもうちょっと怪しくない着物の男…。何かあるんですよ、そこを乗り越える何かが。
 
葛西: 一般化というか、着物を日常化するにはどうしたらいいのか。
 
糸井: でも、似合っている男の人もいるんですよ。
 
葛西: いますね。
 
川島: 私は、きっとみんな意外と似合うんじゃないかなあと思いますが。
 
糸井: うん、きっと似合うとは思う。何かターニングポイントがあるはず。だから男は後でいいですよ、着物に関しては。男は女より目立っちゃいけないんで。男が着物を着て女が洋装という組み合わせを見たら、「主役はお前じゃないぞ」って男の方に言ってあげたい。
 
主役は、着物を着た女の人。男がそれを引き立てるためには着物を着ない方が、今のところはいいです。今のところは、ですよ。
 
川島: 男の人もここで見立てをしてくれるんですか?
 
志村: そうですね。帯も一緒に、お見立てします。
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●アトリエシムラの根底にある、一枚の布。
 
川島: さっきステキな話があった皆川明さんの帯を、昨年TOBICHI2で販売して大好評だったという噂を聞きました。
 
糸井: 楽しかったですよ~。皆川さんが生地をいっぱい持って、志村さんちに行ったときに、ふくみ先生と洋子先生が、キャーキャー言うんです(笑)。
 
川島: せっかくだから、皆川さんからも一言お願いします。
 
皆川: 生地はもちろん、最初は服地として作ったものです。。服地をこのように見立ててもらったことで、自分たちにも見えなかった可能性を改めて知ることができたので、またぜひご一緒したいと思っています。
 
糸井: 皆川さんが持って来た見本の布を、ふくみさんと洋子さんが「これいいわね!」「これもいいわね!」と。まるで18~19歳の娘さんのようでしたよ。それが楽しかった。
昌司さんのご挨拶にもあったように、。伝統工芸とは何かということを辿っていくと、この取り組みは、従来の価値観をひっくり返す歴史なんです。
 
皆川さんの布地は、元々は服を作るために作ったものだから、それを帯にするということは、もしかしたら、帯を専門に作っている人からすると「何を、ちょこざいな。」と思われるかもしれない。けれど、「やってみたらいいじゃない?」と本当に実現させてしまうのが、志村家の面白さだと思います。
 
川島: じゃあ、逆に着物を何かに、というのも?
 
糸井: あると思います。あるかもしれない。
僕は、志村さんのところの仕事のベースは、手のひら大の布一枚だと思うんですよね。それがあれば何でもできる。。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を織ってあるもの、というのが志村さんのところの全てなんだと思います。
 
葛西: 昌司さんは「藍染は、習ったわけではなく我流」だという話をされていました。すごくびっくりというか、そうなんだ!と思ったんです。
 
志村: 枠がないというか、シムラで決めているのは「平織り(ひらおり)」ということ。平織りは、経糸に一本緯糸を入れていくシンプルな技法で、少し勉強すれば誰にでもできる織り方なんです。ただ逆に、誰でも織れるからこそ、着物に描く心情風景を、より表情豊かに織ることができる。
何を大事にするかということに繋がるのですが、技術的に進むのではなく、精神性や芸術性を重んじるために、平織りを続けているのも理由の1つです。
 
川島: 平織りにも、そういう意味があったんですね。
 
糸井: どこからでもヒントを持って来るんですよね。例えば、ポールクレーの絵がステキだなと思ったら、「私はどういう風にこれを生かそうかしら」と考えるような、本当に10代の娘さんの好奇心みたいなものが、今でも生きている感じですね。
 
川島: どうしてそうなんだと思いますか?
 
糸井: 今、歌舞伎がいろんな作家を飲み込んで来ていることや、ハリウッドがアンダーグラウンドの監督を入れたりすることと、同じようなことが言えるのかもしれない。信念のようなものを、ふくみさんから感じます。
 
川島: その度量の大きさの根底には、一枚の布というベースがある。そのしっかりしたものがある、ということが大切ですよね。
 
糸井: そうですよね。そこなんですよね。
 
葛西: 「伝統」って、ものすごく壮大な歴史を感じるような言葉だけれども、古代からの単位で言うと、僕らなんて一瞬にしか生きていない、ちっぽけなものだということを思うと、逆に勇気が湧いてきて、何をやってもいい、という自由さもある。
 
そういう。「自由」と、さっき言っていた「型」があるおかげで、縛りと自由との関係が生まれていくのかなとか、そういう話を伺うと嬉しくなっちゃうんですよ。
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●葉脈モチーフのロゴに込められた想い
 
糸井: アトリエシムラのロゴタイプを作った葛西さんですけれど、ロゴタイプって概念そのものが、西洋から来たものですよね。紋所とは違って。
 
葛西: ええ、「ロゴ」という言葉自体がね。
 
糸井: 日本でずっと育って来た伝統工芸の名前のデザインを葛西さんが考えるときには、西洋の「ロゴ」と日本の「紋所」、両方の行き来があった?
 
葛西: 大変なことを考えているわけでも無いんです。日本人であるとかないとか、そういうことでもなく、人間であるということだけが共通していて。もっといくと、人間もただの動物になると思うと、ものすごく気が楽になります。
 
この仕事でも、。伝統とか日本とか、そういうことを一回取っ払って、少しフレッシュな気分で創りました。メンバーがみんな若い人ばかりで、ゼロから作るとどうなんだろう?と。
若々しい人たちと一緒にやると、楽しいですね。見え方がちょっと変わってくるな、と思いました。
 
糸井: それで、選んだモチーフが、葉っぱの葉脈。あれも人間の国境とか文化だとかを越えて、垣根を超えて葉脈まで戻っちゃうというか。原始的なものですよね。
 
葛西: そうですね。実は、このお話を頂いたときに真っ先に浮かんだのが、葉脈だったんです。
 
川島: 真っ先に浮かんでいたんですね。
 
糸井: いわば、「植物の国を作る」の旗ですよね。
 
葛西: そうなんですよね。昌司さんから「なぜ、葉脈なんですか?」ということを問われてから、あれ?と考えたんですよ。
アトリエシムラから生まれる創作物というのは、全て命あるものから頂いているもの。その命が脈々と流れているという、その流れを思い、「葉脈」を選んだのだとお伝えしました。でも、最初は言葉にはできていなかったんです。
 
糸井: 動物なら血管ですよね。
 
葛西: そうですよね。血流、流れている生きている証、という感じですね。そんなことをおぼろげに思っていたんじゃないですかね。
 
糸井: すごく喜んでいましたよね、あのロゴができたときに。
 
志村: 一発で決まりましたよね。
 
葛西: びっくりしました。こういうことを説明するときって、ドキドキするんですよね。
 
川島: 葛西さんでも、ドキドキしたりするんですか?
 
葛西: ええ。ワナワナする。でも嬉しかったですね。
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●アトリエシムラ、いざ出陣!
 
川島: 最後にひとことずつ、アトリエシムラにエールをお願いします。
 
葛西: 今の僕の年齢になって、すごくフレッシュな気持ちにさせて頂いたことで、生き返った気持ちがしているんです。新しい経験をするような。アトリエシムラのみなさんは、そういうことを世の中に与えることができる方々です。
アトリエシムラについて行けば間違いない、というのは僕自身が体験してそう思います。僕も、できるだけお手伝いしたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 
糸井: まずは、真剣に遊んでいただいてありがとうございます。洋子先生もふくみ先生にも昌司さんにも。なんだろう、“軽く”真剣に遊んでくれるんですよ。“重く
”だとちょっとね。どっちも「重くはかなわんな。」と思っている感じがあって。
 
それが自分にもすごく合っていたので、門外漢のままで近所の人として付き合ってもらっていますけれど。この遊びは、何かとてもいいものを生みそうな気がするので、暫く一緒に遊びましょうね。
 
川島: ありがとうございます。何だか今日の未来研サロンの空気は、とても清々しいし軽やかな感じがしていて、未来研の所長としても、とても嬉しいです。今日は、この場を使っていただいてありがとうございました。
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