未来を試す

【11月2日 「atelier shimura」トークショー】第1回 アトリエシムラの芸術精神は、「価値の転換」

1-top


「atelier shimura」トークショー
●登壇者:株式会社ATELIER SHIMURA 代表取締役 志村昌司さん
株式会社サン・アド アートディレクター 葛西薫さん
株式会社ほぼ日 代表取締役社長 糸井重里さん
ifs未来研究所 所長 川島蓉子
●開催日:2016年11月2日(水)

染織家 志村ふくみさん(人間国宝・文化勲章受章者)と志村洋子さんが築いてきた芸術精神を次世代に伝えていきたいという想いから誕生したブランド、「atelier shimura(アトリエシムラ)」。
 
11月3日から6日、未来研サロンで行った展示販売会の前夜、レセプションを開催しました。
着物を身に付けた方も多く、会場は華やかで和やかな雰囲気に。
アトリエシムラのみなさんによるファッションショー「序の舞」と、トークショーを実施しました。
 
アトリエシムラ 代表取締役 志村昌司さん、アトリエシムラのロゴデザインを手掛けた、サン・アド アートディレクター 葛西薫さん、かねてからブランドを応援してきた、株式会社ほぼ日 代表取締役 糸井重里さん、ifs未来研究所 所長 川島蓉子。
ブランド設立に込めた想いや、これからのことについて語りました。


★ ★ ★
第1回: アトリエシムラの芸術精神は、「価値の転換」
 
1-1
●「アトリエシムラ」とは何か
 
志村昌司(以下、志村): 「atelier shimura(以下、アトリエシムラ)」代表 志村昌司(しむら しょうじ)と申します。ブランド誕生という、今日の日を迎えることができ、とても嬉しく思います。
 
アトリエシムラは、染織家である志村ふくみと志村洋子の芸術精神を広く、次世代にも継承したいという想いから誕生しました。シムラの芸術精神とは、「価値の転換」ではないかと、僕は思っています。
 
祖母である志村ふくみは、紬織りの人間国宝であり、源氏物語や琵琶湖シリーズなど、民芸を出発点として、日本文化をテーマにした着物を作っています。
紬織りは、もともと農家の方々の普段着として着られていた着物。使用する紬糸は、生糸にならないようなクズ繭を真綿にし、その真綿から手で紡いで取った糸のこと。不均一で節があり、肌触りもゴワゴワしています。
 
そういう紬織りを、芸術の領域にまで高めた。価値が低いと思われていたものを、価値の高いものに変えた。ふくみが行ったのは、そうした「価値の転換」だと思います。
 
私の母、志村洋子は、ふくみと共に都機工房(つきこうぼう)を主宰しています。京都の嵯峨に構えた工房で藍を建て、植物で染め、機で織り、着物にします。
紬織りの可能性を更に広げ、シュタイナーやゲーテの思想、ヨーロッパの色彩論、あるいはキリスト教文化やイスラム教文化など、ふくみとは異なる思想で着物を織っています。洋子の取り組みは、紬織りの「射程を広げた」ということが、大きいと思っています。
 
アトリエシムラとして大切にしていきたい視点は「価値の転換」。つまり、今まで評価されてこなかったものを、評価されるようにするということです。
例えば、アトリエシムラには、着物を裁断した後の残り裂である、小裂(こぎれ)があります。捨てることはないけれど、作品に使用することもあまりありませんでした。アトリエシムラでは、この小裂をコラージュして一つの形にすることで、額装や画帖といった、美しい芸術作品を作りました。
 
そしてもうひとつ、つなぎ糸。これは、残った糸を捨てずに繋いで、それを着物に織り込んでいくことです。通常は捨ててしまうようなものにこそ価値があるということを、実際に芸術的に見せていくことで、今の閉塞的な世の中に刺激を与えることができたらいいと思っています。
 
1-2
●芸術体験を通して学ぶ学校「アルスシムラ」
 
こうした芸術精神の継承はとても、難しい問題です。私たちの場合は、「継承」を「教育」の問題として捉え、開かれた芸術教育の場を作ることを目的に、2013年、京都の岡崎に「アルスシムラ」という学校を開きました。
 
「学ぶ」とはどういうことかと考えると、情報として知るということだけでは足りず、実際に自分の生活や生き方、自分自身が変化することが、「学ぶ」「知る」ことだと思っています。そういう意味では、学んだ後のことがとても大切。そこで、アルスシムラで学んだ卒業生たちが、実践していく場が必要だと考えるようになりました。
 

●夢は、「植物の国」を作ること
 
アトリエシムラは、経済生活と思想が両輪になって進んでいくようなブランドにしていきたいと思っています。今まで社内外で様々な議論を重ねてきて、ようやくここまで来たという感じです。
 
以前、ふくみが、「私は植物の国を作りたい」と語っていたことがあります。つまり、植物を尊重する、自然を尊重するという心持ちの社会という意味です。道のりは遠いかもしれませんが、私も同じ気持ちです。
アルスシムラという学校で「種」が蒔かれ、アトリエシムラというブランドで「苗木」になり、それが成長することで「森」になり、やがては「植物の国」になれたらいいなと思います。
 
アトリエシムラは、まだまだ始まったばかり。夢は大きいですが、しっかり足元を見て頑張っていきたいと思います。
 
1-3
第2回 みんなにウェルカムされる、川の流れのある場所で。

すべての記事を見る

ifs未来研究所について

〒107-0061
東京都港区北青山 2-3-1 CIプラザ2F
未来研サロン WORK WORK SHOP

Tel: 03-3497-3000
Fax: 03-3497-4555

お問い合わせはこちら

Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com