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第5回 「みらいファッションラボ」イベントレポート 後編

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登壇者:
久保 友香さん(東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員)
進藤 郁子さん(株式会社資生堂 ヘアメイクアップアーティスト)
北川 竜也さん(株式会社三越伊勢丹ホールディングス 情報戦略本部)
林 信行さん(ITジャーナリスト兼コンサルタント ifs未来研究所 外部研究員)

 
レポート前編はこちらから
レポート中編はこちらから
 
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林信行(以下、林): ここからは、みらいファッションラボを一緒に運営している、三越伊勢丹ホールディングスの北川さんにも参加して頂きます。同じ男性として、前半を見ていてどうでした?
 
北川竜也(以下、北川): いやあ、ワクワクが止まらない。「盛れすぎていることは、盛れていないのと同じ」というのは、名言ですね。ワードのチョイスも素晴らしいです。
久保さんと進藤さんがやっていらっしゃることを突き詰めていくと、実は同じところに行き着くんじゃないか、という気がして、そこを掘り下げることができたら面白いな、と。
 
この間、テーマパークに行って、息子の代わりにアトラクションに1人で並んでいたんです。僕の前にいた10代後半くらいの女性2人が、待ち時間中ずっとセルフィを撮り続けていて。
僕は彼女たちよりも背が高いので、スマートフォンの画面が見えてしまったのですが、どう少なく見積もっても、200~300枚くらいのセルフィを撮影しているんです。
 
僕もセルフィに写り込んでいることが気にはなったのですが、その数百枚のセルフィの違いがさっぱり分からなかった。でも、彼女たちはきちんと違いを理解していたんだということが、お話を聞いてよく分かりました。
 
セルフィーやプリクラに映った自分自身の顔から、微細な差を「自分の個性」として認識することはできても、周りの人はそれをどうやって認識しているのでしょうか? 周りの人も違いを認識して、「あ、これは彼女らしい」とか思うのか、それとも、自己満足?
 
久保: みなさん、「自己満足」と言うんですけれど、きっとコミュニティの中では、お互いに分かり合っていると思います。それを共有している者同士で仲良くしていて、それこそがコミュニティなんだな、と。
 
北川: ああ、それが「可愛い」という言葉になるんですね。「今日の○○ちゃん、めっちゃ可愛い」っていう。つまり、周りの人もちょっとした差異を認識しているんですね。
 
久保: そうです。同じ基準の「可愛い」を持っているかどうかが、同じコミュニティかどうかを判断する材料になるんじゃないかな、と。
 
北川: なるほど。じゃあ、コミュニティごとに、その認識は変わるんですか?
 
久保: 認識は、それぞれ違うんじゃないかと思います。むしろ、コミュニティの線引きをするために、他の人には分からないような基準を持ち合っているところが、女の子たちにはあるかな、と思っています。
 
北川: 同じ基準を持っているコミュニティを、どうやって判別するんですか?
 
久保: 本人たち同士は分かる、ということですよね。「あ、同じ基準を持っているな」「持ってないな」というのは、顔を見ても分かるところがあるんじゃないかと。
 
北川: 「盛り方」で顔が違うんですね。
 
久保: そうです。少し前はもっと明確な違いがあったのですが、今はナチュラルメイクが主流なので、私には見分けることが難しいのですが…。
かつては、顔を見れば「あの雑誌を読んでいる人」とわかりましたが、今はそのグルーピングがもっと細かくなって、LINEグループくらいの感覚になっていると思いますね。
 
私の学生時代は、もっと「イケてる」ことが重要だった時代だったので、「イケてる」という基準を共有しているかどうかで、同じコミュニティの人かどうかを判断していたと思うんです。
 
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北川: なるほど。進藤さんは、それを聞いてどう思います?
 
進藤郁子(以下、進藤): 10代の子たちを集めて座談会を行ったのですが、「モデルさんは、可愛すぎて参考にならない」と言っていました。彼女たちは、ショップ店員など、参考にできる人をSNSでフォローし、似た感覚を共有できるコミュニティの中でフォローをし合っていて、ちょっとだけ先端を行くコミュニティボスのような人の後追いをしているようです。
InstagramなどのSNS上でどう見えるか、という視点で、好き嫌いがはっきり分かれているんじゃないかな、と思います。
 
北川: モデルさんのような完璧な美しさではなく、親近感が持てるような一般の人をフォローするって、きっとこれもテクノロジーの進化がもたらしたことなんでしょうね。
 
リアルにメイクをすることと、テクノロジーで目の大きさや肌の色を盛ることって、やっていることが決定的に違いますよね。ヘア&メーキャップアーティストとして、実物の顔にメイクを施していらっしゃる進藤さんから見て、バーチャル上で顔を変えることは、どのように映っているんですか?
 
進藤: 実際、広告や雑誌でも、レタッチ無しで出ている方は、ほとんどいないんですよね。ビューティー誌も、「こんなにも全く肌トラブルの無い人が、果たしているのか?」というくらい、元々きれいなのに、更に整えられたモデルさんが出ているので、みなさんそれに見慣れてしまっている。
だから、そういう情報しか入ってきていない分、リアルな自分の顔に疑問を持つんじゃないかな、と思っています。
 
久保: 進藤さんが仰る通り、モデルさんのようなプロの世界ではレタッチが当然。それが、現代の技術発展によって大衆にも落ちてきた、ということなんですよね。
昔から、ビューティー誌のモデルさんを見て、どこまでが化粧でどこからがレタッチなのかという境界線を、読者はあまり気にしていなかったと思うんです。今、一般の女の子たちもレタッチをするようになりましたが、彼女たちは自分の顔に対してもその線引きを気にしていません。
今のプリクラでは、目の加工の度合を選べるのですが、メイクの具合によって、プリクラの目の大きさを選んだり。両方を組み合わせて理想の顔になれれば良いので、その境界線はどうでもよい。そこの境界線を気にしているのは、男性だけという気もします。
 
北川: あははは(笑)。
 
進藤: モデルさんや女優さんは、一般の方がアプリで加工するほどの修正はしていないのですが、元々きれいな方に更に手を加えることで、あまりにもきれいな顔が世の中に出ている状態になっていると思います。
韓国や中国のレタッチは、私たちが「ヌメヌメ」と呼ぶ、毛穴が全く無いほどにつるつるに加工するのですが、日本は、素肌感を残したナチュラルな雰囲気に仕上げることが主流です。
今のプリクラやアプリは、明らかに目を大きく加工したことが分かるので、もっとナチュラルに盛れるものが出てくるのではないかな、と思っています。
 
北川: 先ほど、教育の話もされていましたが、ここ何十年かで、メイクは劇的に変わっているんですか? それとも、そんなに変わっていない?
 
進藤: バブル期と比べると、だんだん幼い顔に変わっています。資生堂が掲げている「ゴールデンバランス理論」に基づくような、卵型の顔のカタチをしている人を、いわゆる王道美人とすると、今っぽい顔の人は、目がちょっと離れていて顔が短い方が多くなっている気がします。前髪を作る方が約80%と増えていますし、チークを真横に入れることで、顔をなるべく短く見せようとしています。
 
少し前に、赤リップやかき上げ風前髪が流行りましたが、バブルを経験した方がそれをやると、あまりにもハマりすぎて、ドンズババブルになっちゃうわけですよ。顔が短くて幼い見た目の子が、赤リップを付けて前髪をかき上げることがトレンドなので、顔型と色は、密接に関わっているんじゃないかな、と思います。
 
北川: 久保さんがさっき仰っていた歴史という観点から見ると、メイクを100年単位で遡ったときにも、本質的にはやっていることは同じなんでしょうか?
 
久保: 違うんじゃないでしょうか。江戸時代化粧書には、「目を細くする方法」という項目があるようです。今と同じで、ビフォー・アフターが載っているんですが、ビフォーの方が大きな目で、アフターの方が細い目だったりする。今と反対です。
それが、明治の文明開化のちょっと後に、デカ目の波が来るんです。私は、それは技術の影響だと思っているのですが、江戸時代までのアイメイクは、白粉で行っていました。白粉を使いこなす方向として、細い目がよかったのだと思います。
明治時代になって、西洋からアイシャドウなどの黒い粉のアイメイクの化粧品が入ってきたことで、頑張れば頑張るほど、目を大きく見せることができるから、大きな目がよくなったのではないかと。
 
しかし、黒い化粧品を使うことは、最初、主に男性たちから「夜の化粧」などと言われて、批判されました。しかし、ファッション雑誌が発売されたことで、女性同士のコミュニケーションが生まれ、目がどんどん大きくなっていきました。
道具やメディアの技術の変化によって、何が美しいか、何が可愛いか、という基準が変化して行っているのではないかと思います。
 
北川: ということは、世の中の「可愛い!」とか「きれい!」という感覚は、後から付いてきた感覚なんですね?
 
久保: 私は技術系なので、「技術が、それらの基準を変えている」、という仮説を持っています。
 
北川: 進藤さんはどうですか?
 
進藤: 女性は、なんでも「可愛い」というワードでくくってしまいがちですよね。一体、何をもって「可愛い」と言うのか、という疑問はあるんですけれど。「可愛く見られたい」と思ってやっていることに対して、「可愛い」という評価をしているように感じています。
 
でも、「可愛いと思われたい」と思わずにメイクをする人は少ないと思います。「大きな目に見られたい」、「もっと小顔に見られたい」とか。日本の場合は、メイクの後に、ファッションを足していく、というのがまだまだ多いんじゃないでしょうか。
 
北川: 冒頭の久保さんのお話にあった、守破離の“守”から壊したり離れたりするという臨界点があるとしたら、ある一定のトレンドのようなモノはあるんだけど、そこから先は、それぞれの個性によって、コミュニティができていく。
 
お話を聞いていて、百貨店業界が直面している悩みと全く一緒だな、と思いました。
これまで百貨店は、みんなが「ステキ!」って言いそうな服をたくさん売る、という商売で成り立っていましたが、それが通用しなくなりつつある。つまり、今の世の中は、多様化されたコミュニティの集合体になり、昔のような大きなコミュニティではなくなってしまった。これが、インターネット普及後の世界だと思っています。
 
お話を伺っていてステキだな、と思ったのは、「自分の個性をそこで表現することができる」、ということ。ファッションで例えると、自分では選ばないような真っ赤なコートをスタイリスト(販売員)が薦めてくれて、ちょっと冒険なんだけれど買ってみた。
そのコートを着ると、人からものすごく褒められた。褒められてからは、コートを身にまとった自分の姿がガラスに映るのが嬉しくて、1週間を楽しく過ごすことができた。
 
この感覚は、同じコミュニティの友達が、自分の「盛り」を可愛いと褒めてくれたから、それだけでずっと機嫌がいい、みたいな。こういう話と、近いかもしれないと思います。
だから、みんなに認めてもらわなくてもいいんだけれど、自分が「この人たちは、よく分かっている」と認めている人たちから褒められることが、ものすごいモチベーションになるんでしょうね。
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<質疑応答>

女性A: 先日、友人たちと4人で撮ったプリクラを親に見せたら、「全員同じ顔をしているけれど、あなたはどれ?」と言われて。私は同じ顔だと思っていなかったのですが、他人から見ると違いが分からなかったりするんだな、と感じたことを思い出しました。
 
久保: 自分だと思っている幅が一番広いのは、自分自身なんですよね。プリクラメーカーと一緒に、同じ顔画像に少しずつ加工の度合を変えていったものを見せて、どの加工が良いですかと聞く実験をしたのですが、私が「ここからここまでは、私の顔」と思う範囲と、他人が私の顔と思う範囲が違う。
自分の顔は、鏡を通してしか見たことがないから、本当の自分の顔を一番知らないのは、実は自分自身だと思います。
 
女性B: 10代の若い世代に限らず、テクノロジーで加工した写真に凝るマダムたちや、バーチャル上ではなく、実際にメイクなどで顔を変えるアジアの女性たちを見ていると、「日本の女の子たちの行動が、世界に浸透していく」というのは、まさにその通りだと思いました。
 
「盛る」ことは、若い女の子たちだけに限らず、きっと、女性たちがある程度共通して持っている願望で、大人の女性にも通じることなんだろうと思います。
 
久保: アジアというワードが挙がりましたが、日本よりも中国の方が、大人も喜ぶアプリを作っています。日本は、女の子たちだけで共有するトレンドに合わせて、ナチュラルに盛れることにこだわっていて、技術的にもとても高いのですが、中国のアプリは、世界標準的な美に向かって、もっと分かりやすく加工します。だから、大人にも受け入れられるアプリはそちらかな、と思っています。
 
日本では、スマートフォンで写真を加工するときに「どのアプリを使おうかな」と探しますが、今、中国のでは、「どの端末を選ぼうかな」と、スマートフォン自体を選ぶようになっています。端末自体にビューティー機能が入っているものが、どんどん発売されています。
電話機能もインターネット機能も付いているのですが、スマートフォン売り場ではなくて、美容家電売り場で売られていたりすることもあると聞きました。ライトが調光できたりするものもあるようで、スマートフォンが、持ち歩き可能なモバイルスタジオに近づいています。 

例えば、中国でしか販売されていないCASIOの「TR」という機種は、ビューティーに特化した「セルフィーデジタルカメラ」なんです。だいぶ前の機種で、日本円でも100,000円くらいする高価なカメラなのですが、これが飛ぶように売れているようです。彼女へのプレゼントとして購入されたり、このカメラを持っていることが、一つのステイタスでもあるそうです。
 
そして、セルフィーを加工するアプリ「BeautyPlus」を開発した、Meituという企業が開発したスマートフォンが一番代表的。これは、スマートフォンでありながら、顔をキレイに撮影することに特化した端末です。
 
他にも、様々な企業でビューティーに特化した端末を開発しています。中国では、「自撮り端末」という分野が確立しているようで、これからますます増えると思います。
 
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北川: 中国と日本では、メイクの好みの違いがありますよね。これらのカメラでは、中国のトレンド寄りに加工されるということなんでしょうか?
 
久保: そうですね。でも、中国の人はあまりアイメイクをしないんですよね。
 
進藤: そうなんですよ。中国は、日本に比べると「肌がきれい」ということに重きを置いているイメージです。日本風トレンドを取り入れている中国の方もいるし、欧米に向いている方、韓国に向いている方もいるのですが。
 
北川: 先ほど、進藤さんが、ニューヨークやパリ、東京でトレンドが作られ、今後のトレンドを予測するというお話をされていましたが、国ごとの違いはどのように生まれるんですか? 最初から異なるモノなのか、それとも最終的に違うモノになるのか。
 
進藤: そもそも、顔が違うということも影響していると思います。例えば、赤リップを塗るというトレンドがあったとして、そこに日本というフィルターが入ると、可愛い雰囲気になりやすい。
 
また、昔ほど、日本人が海外に憧れを持っていないようにも思います。海外の人のメイクを真似するよりも、身近な人のメイクを参考にしたり目標にしているという意味では、日本独自のトレンドも出てきているような気がします。
 
久保: 急に、そういう流れが出てきていますよね。ちょっと前までは、アメリカやフランスに強い憧れを持つ人が多かったのが、今の若い女の子たちは、欧米やヨーロッパへの憧れがあまり無い。
 
進藤: コレクションを知らない、知っていても見ないという若い子たちも多いですね。「海外セレブを見る」という子たちはいるんですが。
欧米やヨーロッパには現実味がなさすぎてしまうのか、「あまり参考にしない」とハッキリ言っている子も多いです。
 
北川: 例えば、イベントやデモンストレーションの際に、アドバイスを求められたとき、進藤さんはどのように伝えるんですか?

進藤: 以前は、みんなが求めるゴールが一緒だったので、「こうやってメイクすると、美人になりますよ」とか「こういう顔にメイクしましょう」と伝えていたのですが、今は、なりたいイメージがみんなそれぞれ違うんですよね。
 
自分が属するコミュニティの中での美人になることがゴールなので、個々人の希望と合致するメイクを提案をするように心掛けています。なりたいイメージのゴールを共有してから、似合わせメイクとしていく、という風に。
 
つまり、「“流行り”が無くなってきた」、ということでしょうか。昔は、聖子ちゃんカットやアムラーなどの流行スタイルがありましたが、そういうことが無くなってきています。
 
久保: 「普通の人」の発言力が上がっているな、と感じています。以前は、尖った人の発言についていくような流れがあったのですが、今は、SNSの影響からか、普通の人たちが世論を作るようになっている。
なので、本来尖っている子たちも、真似してもらいたいがために、普通に合わせちゃうというか。そうでないと誰もついてこない、という意識があるのか、みんなが「普通の人」をやっている気がします。
 
北川: 久保さんは、どんなメディアを注目して見ているんですか?
 
久保: Twitterですね。夜な夜な、女の子のTwitterの画面を追いかけて。
 
北川: 進藤さんは、どんなメディアをご覧になりますか?
 
進藤: もちろん雑誌は見ますが、最近は、美容に関するTwitterと、Youtube、instagramも見ます。あとは、実際に若い子たちに話を聞くようにしています。
以前は、「誰のメイクを参考にしているか」と聞くと、タレントやモデルの名前が上がっていたのですが、今は、SNSで影響力を持つ一般の方の名前が挙がるので、「誰!?」と慌ててアカウントを調べる、というような感じになっていたりします。
 
女性C: 久保さんのお話の中で、リアルアイデンティティと、バーチャルアイデンティティの垣根がだんだん緩くなっていて、バーチャルでの努力が報われていくと仰っていましたが、技術が上がり、バーチャルで理想のカタチを実現することができると、リアルでも追いつきたいと思うんじゃないかな、と思っています。
プラスチックコスメという例も挙がっていましたが、リアルをバーチャルに近付けるモノの傾向には、どのような流れがあるのかを聞かせてもらいたいです。
 
久保: 「よりナチュラルに盛る」というか、「まるで盛っていないかのように盛る」ことを目指す方向に進んでいるような気がします。でも、それって一番難しいんですよね。ハリウッド映画に使われるCGも、昔はいかにもなモノだったのが、今は、一体どこがCGなのかが分からない。
リアルもバーチャルもこうした加工していないかのような加工が求められていくので、プラスチックコスメのおいてはこれから「透明な技術」がどんどん進んでいくのかな、と思っています。
 
そして、私の予測になってしまうのですが、手術後に傷口に貼るテープなど、医療用のコンバーテックの技術などが今すごく発展しているので、それが「盛り」にも使われるようになっていくのでは、と思っています。
 
進藤: 私は、実際にヘアメイクをする者なので、なるべくメイクでバーチャルとの差を埋められることがベストだと思っています。でも、以前ある雑誌が企画した、美容整形をテーマにした座談会を覗かせてもらったのですが、美容整形のハードルがあまりにも低いことに驚いて。
 
例えば、学生割引があったり、親の承諾も不要だったりと、簡単に目を二重にできたりするんです。美容整形をすることに対する恥ずかしさも無いようで、お互いに気になる箇所などをオープンに話しながら盛り上がっている姿を見て、「二重まぶた糊などのコスメではなくて、世の中は美容整形の流れにいくのかな」、と思いました。
 
一方で、美容整形に対して抵抗のある世代もまだまだ多いのが現状。「整形メイク」をテーマにした本が爆発的に売れたり、カプサイシンで唇を腫らせることで、ぷるんとした唇に見せるリップが発売されたりという流れもあるので、更に新しいコスメも出てくるだろうとも思います。
 
でも、バーチャルアイデンティティが膨らめば膨らむほど、リアルに出歩くことが怖くならないのかな、と私は思ってしまいます。盛った顔を見ているバーチャルなコミュニティに、リアルで会ったときに「え、誰?」って思われたらどうしようと思ってしまうのですが、そうではない世代もいるんですよね。
特に、10代の若い子たちはそうだと思うので、整形風に「盛った」メイクを、どれだけリアルでできるか、ということが戦いになってくると思います。
 
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女性D: 今回のお話を聞いていて、「コミュニティ」がキーワードになっている印象を持ちました。インターネットの普及で個人が力を持つようになり、小さなコミュニティがたくさんできたという動きと、逆に、大きいところから落ちてきたトレンドが、小さなコミュニティを形成していくパターンがあると思います。
今後、どちらの動きが大きくなっていくのか、どちらのコミュニティが大切になっていくのかを、どのようにお考えですか?
 
久保: 私の研究者としての希望は、ボトムアップのコミュニティが大きくなること。なぜかと言うと、ストリートから全体を作っていくという流れになると、未来の予測ができそうだからです。
トップダウンだと、そのトップの人がどのような選択をするのかが予測できないので、研究者としては、ボトムアップが進んで欲しいな、と思います。でも、大人の思い通りにならないのが、日本の女の子たちだとも思います。
 
進藤: 一般の方でも、特に美容師アシスタントや服飾専門学生は、とても感度が高いと思います。他では見ないメイクをしているな、と思っていたら、半年から1年後に、街頭でもそのメイクをしている女の子たちを見かけるようになったり。
 
涙袋メイクなどもそうだと思うんですが、ああいうキャッチーなモノって、大人たちが考えて作り出したトレンドではなくて、ポンと出て来たモノがトレンドになっています。
多くの企業は、経済的に比較的余裕のある30~50代をターゲットとすることが多く、10代をついつい後回しにしてしまうことが多いのですが、彼女たちの世代から生まれるトレンドをキャッチアップしていくかが課題だと思っています。
 
企業には、「トレンドはこう」「マスの人数はこれだけいる」と提示できると通りやすく、「街角で、こんな動きがあるらしいですよ」では、なかなか動いてもらえないこともある。でも、以前と比較すると、街中から生まれるトレンドを無視することができなくなっているのは、間違いないと思います。
 
林: 久保さん、進藤さん、ありがとうございました。
 
<終わり>

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