未来を試す

【うろうろアリでいこう!】Story 4 「うろうろアリ」と心理学

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その会社は、創業100年になろうかという
地方の製造業。
確かな技術で、家庭の日常に欠かせない
ある商品を愚直に作ってきました。
 
経験や歴史というのは、
僕らに様々な学びを与えてくれる一方で、
時に、
僕らを 過去の成功や失敗の枠に封じ込め 、
新たなチャレンジから遠ざけるジレンマも
もたらします。
 
その企業も例外ではなく、
既存の技術や商品を大切にするあまり、
現状の思考・行動の枠から
脱却できずにいました。
ちょうど、音楽配信がCDを駆逐し、
スマホがデジカメにとってかわったように、
破壊的なイノベーションがその市場にも
刻々と迫るリスクがあるにも関わらず・・・。
 
そんな膠着した状況を打破すべく、
社内から若手のリーダー10名が選抜され、
未来に向けた価値創造のプロジェクトが
スタートしました。
組織機能上の多様性を確保して
様々な事業の芽を導き出そうと、
異なる部門から様々なバックグラウンドの社員
が集められました。
 
しかしこのような場合、
年代、性別、専門性など、
外形的な多様性を整えるだけでは
ディスカッションはあまり盛り上がりません。
型通りのアイデアが出るだけで、
心躍るような面白い展開にはならないのです。
 
ではどうすればよいか?
オフサイトでミーティングする?
アルコールの力で本音トークをする?
そういうやり方もあるのでしょうが、
それ自体は 本質的な解決策ではありません。
 
皆が組織上の役割を果たそうとしている限り、
機能の枠内、つまり
自分の守備範囲内の考えに止まってしまい、
言語で説明可能な、ロジックで固めたような
直線的発想しか出てこない。
この壁を乗り越えることが必要なのです。
 
そこで、社内のタイトルや職能にとらわれず、
完全に仕事以外の自分自身のこと、
例えば趣味、ライフスタイル、好きなこと、
大事にしていること、などについて
トコトン話し合ってくださいとします。
まあ、最初からそう簡単には出てきません。
ぎこちない空気が漂います。
 
そもそも、自分自身について話すのは
勇気が要ることです。
特に会社の中で、「機能」「役割」といった
「マスク」を被っているときにはなおさら。
これを話したらどう思われるだろう?
誤解されるのではないか?
 
でも、ちょっとしたきっかけや工夫によって、
徐々に打ち解け、話が進むようになります。
同じ部門に何年もいたにも関わらず、
それまで全く知らなかった内面を垣間見て、
思いや価値観に触れ、感じる。
距離が一挙に縮まりはじめる瞬間です。
それから、堰を切ったかのように、
心躍るような アイデアが溢れ出るのです。
 
例えば、
理詰めでカチコチに堅いと思っていた人が、
実は熱烈なアウトドア愛好家で、
自由にのびのびと自然に触れる楽しみを
日常に持ち込めたらいいなと思っていたり。
非効率を見逃さないスケジュール管理の鬼が、
いつも忙しそうな共働きの奥さんに、
心和み安らぎを感じるような瞬間を
つくってあげたいと願っていたり。
 
「組織の一部として何をすべきか」ではなく、
「個人としてどのような志を実現したいか」
という視点で考え始めることによって、
その人の人生で培われた独自の触覚が動き出し
より自由に、より多角的に、
アイデアを生み出すことが出来るようになる。
このぶつかり合いがあって初めて、
多様性が意味を持つということなのですね。
 
働きアリは直線的に効率よく機能を果たそうと
します。
一方でうろうろアリは内面から湧き出る何かに
突き動かされてうろうろします。
 
内面的な動機によって動いている人の方が、
より生き生きと、 意欲ややる気を持って物事に
取り組み、クリエイティブな成果を出す。
これは、報酬や昇進・出世など、
他者から与えられるものよりもずっと強い力を
持つことが心理学でも確かめられています。
 
さぁ、そろそろみなさんもうろうろ
したくなってきたのではないでしょうか?
 
次回から
“うろうろアリの10箇条”ということで
特徴を詳しく見ていきます。
 
171106_うろうろアリ_画像
 
★「うろうろアリでいこう!」の連載記事は、こちらからご覧頂けます。
 

唐川 靖弘プロフィール
外資系コンサル、広告代理店戦略プランニングディレクターを経て、2012年から米国コーネル大学ジョンソン経営大学院 Center for Sustainable Global Enterprise マネージングディレクターとして、多国籍企業による新規ビジネス開発プロジェクト・新市場開拓プロジェクトをリード。
同時に、「うろうろアリ」を育成することをモットーとし、自身の会社EdgeBridge LLCを基点に、ifs未来研究所(伊藤忠ファッションシステム)の外部研究員、ファッション系広告代理店戦略顧問、大手企業人材育成プログラムディレクター、大学の客員講師としても活動。1975年広島県生まれ。
Cornell University MBA (経営学修士)。INSEAD Executive Master in Coaching and Consulting for Change(2019年修了予定)。
160610_唐川さん

©2017 Yasuhiro Karakawa/EdgeBridge

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