未来を試す

【うろうろアリでいこう!】Story11 「組織の三大アリ地獄」その1

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組織の中には、
うろうろアリの行く手を阻む、
どんなアリ地獄(Pitfalls)が
潜んでいるのでしょうか?
 
僕はそれらを大きく3つに分類し、
「組織の三大アリ地獄(3つのP)」と呼んでいます。
字面からして怖いですね…
確かに怖いです。
 
どう怖いのか、具体的事例を交えながら
ひとつずつ見ていきましょう。
 
ひとつめの蟻地獄は、
「完璧主義地獄(Perfectionism)」です。
 
完璧を目指す何がいけないのか!
という声も聞こえそうですが、いけません。
特に今の時代にはいけません。
 
まず、失敗したら罰せられるという
組織風土の中では、前例踏襲の
ルーティンワークを確実にこなす方が良い、
チャレンジしない方が確実、
という方向に力学が働きます。
 
そんなことでは、新たな価値をもたらす
イノベーションなど起こしようがありません。
 
さらに、大企業によくあるのですが、
不確定要素を排除しリスクを避けるために、
事前調査や準備に時間と手間をかけ過ぎます。
 
調査結果がまとまる頃には、
市場環境も顧客の嗜好も既に変化してしまい、
また次の調査が必要になり、調査分析の
無限ループに陥る…というのがオチです。
 
変化のスピードが目まぐるしい現代、
過去に強烈な成功体験を持つ企業も危険です。
 
少しでも長くその成功を長続きさせたい
と思うあまり、その場所にどっぷりとはまり
抜け出せなくなる。
 
これも成功という名の、一種の蟻地獄です。
 
事前の準備に時間と手間をかけることで
高められる成功の確率と、
スタートを切るタイミングが遅れることで
成功の機会そのものを逸してしまう確率と、
どちらが高いか。
 
その分岐点は、今や、限りなく
タイミング重視に傾いてきているといえます。
 
つまりは、Just Do It。
小さくていい。完璧でなくていい。
まずはやってみることが大事なのです。
 
学びは、過去の体験からでも、
未来のシミュレーションからでもなく、
今起きている現場からスピーディに得る。
その学びを元に次のアクションをすぐ試す。
その繰り返しです。
 
組織が成長し、大きくなるほど、
意思決定へのプロセスが複雑化し、
フットワークは確実に悪くなります。
特に大企業、大組織の方はこのことを
しっかりと認識しておく必要があります。
 
しかしながら、組織を率いる責任者は、
成功の確率を上げられるような意思決定を
日々迫られているわけで、
十分な根拠なく決断を下すことはできません。
いったいどうせよと言うのか!
という声が聞こえそうです。
 
確かに、「環境分析はしたのか」
「過去の事例や他社の状況は調べたのか」など、
判断材料を増やしたくなるものです。
 
マーケティング上の
基本的な分析ツール自体は
僕も否定するものではありませんが、
それに時間と手間をかけ過ぎてはならない。
それより何より、今一番確かに
成功の確率を上げるものは何か。
 
それは、何かをやり遂げたいという
志の強さと熱さ、そしてそれに共鳴し、
それを支えるネットワークなのです。
 
まさに、うろうろアリの10箇条
リストアップしたことですね。
 
成し遂げたい志、つまり内発的動機に
導かれている限り、困難に直面しても突破方法
を見出す力が絞り出され、それが結果として
ユニークな価値をつくることに
繫がっていきます。
そうでなければ、突破しにくい困難の理由を
自分以外の外的要因に求め続け、
時間と労力だけを延々と消費することに
なるでしょう。
 
電機・情報系の、
とあるグローバルカンパニーの
プロジェクト相談を受けたときの
エピソードを紹介します。
 
その会社のプロジェクトメンバーは、
貧困など社会的課題の解決に
寄与する新規ビジネスを
興そうと考えていました。
 
チームメンバーは「その分野での
先進企業が何をやっているのか。
どのような成功事例があるのか」
ということを収集・分析するための
勉強会を定期的に行いながら、新たな
ビジネス機会を見定めようとしていました。
 
ただ残念ながらそこには、
「自分自身が成し遂げたい志とは何なのか」
という点が欠如していました。
それが一番致命的でした。
 
インターネットなどで接触できる
成功事例の表面的な部分だけを
すくい上げ、それを論理的に破綻のない
企画書に編集しようとする。
 
大企業の得意技ですが、現実は全く違います。
特に新興国の環境変化は目まぐるしく、
市場は刻一刻と変化しています。
 
案の定、完璧主義地獄の無限ループに
陥ったようで、翌年、チームのメンバーと
思いがけず再会した際には、
「まだ勉強会を続けていますが、
具体的な話に進まず、どんどん先細りになり、
メンバーも皆、疲れ果ててきました」
ということでした。
 
組織の中にはこんな事例が溢れています。
 
美しいロジックで立派な計画を立てることに
時間と労力を割き、
肝心の実行段階になった途端に
熱が急速に冷めてしまう…
というのも良く聞く話です。
 
リスクを恐れて完璧主義地獄に陥らない。
そのかわりに、志の強さと熱さで前進する。
これに尽きると思います。
 
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★「うろうろアリでいこう!」の連載記事は、こちらからご覧頂けます。

唐川 靖弘プロフィール
外資系コンサル、広告代理店戦略プランニングディレクターを経て、2012年から米国コーネル大学ジョンソン経営大学院 Center for Sustainable Global Enterprise マネージングディレクターとして、多国籍企業による新規ビジネス開発プロジェクト・新市場開拓プロジェクトをリード。
同時に、「うろうろアリ」を育成することをモットーとし、自身の会社EdgeBridge LLCを基点に、ifs未来研究所(伊藤忠ファッションシステム)の外部研究員、ファッション系広告代理店戦略顧問、大手企業人材育成プログラムディレクター、大学の客員講師としても活動。1975年広島県生まれ。
Cornell University MBA (経営学修士)。INSEAD Executive Master in Coaching and Consulting for Change(2019年修了予定)。
160610_唐川さん

©2017 Yasuhiro Karakawa/EdgeBridge

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