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【うろうろアリでいこう!】Story12 「組織の三大アリ地獄」その2

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うろうろアリの行く手を阻む、
組織の三大アリ地獄(Pitfalls)。
 
前回は、ひとつめの蟻地獄
「完璧主義地獄(Perfectionism)」
について述べました。
 
リスクを恐れるがあまり、
自ら完璧主義の呪縛に陥り、
機会を逸してしまう蟻地獄です。
 
私たちを取り巻く環境の変化は
ダイナミックで猛スピード。
 
しかし、完璧を求めて躊躇している間は、
議論はずっと机上のままです。
状況の変化を追いかけているうちに
時は過ぎ、次の変化の波が押し寄せる。
現実の世界からは常に置いてけぼりです。
 
一方、うろうろアリは実行者。
自ら動くことで道を切り拓いていく存在です。
完璧主義を求める風土では、
その強さを活かすことは出来ません。
 
そして今日は、ふたつめの蟻地獄。
「役割仮面地獄(Persona Crisis)」です。
 
役割仮面が地獄?
そもそもPersona=ペルソナ
って何なんだ?
 
聞きなれない言葉かもしれません。
ペルソナとは、
心理学者のユングが提唱したもので、
「地位や場面に合わせて演じる役割」
のこと。
 
人は、誰しも社会や集団の中で
何らかの役割を担い、
その役割を果たすよう行動します。
 
しかし、その役割に
がんじがらめになってしまうと、
自分が何をしたいかよりも、
組織のために何をすべきかが優先され、
その結果、個性がかき消され、
一人一人が持つ能力が
十分に活かされなくなってしまいます。
 
うろうろアリが、
あっちをうろうろ、
こっちをうろうろして得た
貴重な経験や感性も、
「集団の中での役割」という仮面に
封じ込められてしまうということなのです。
 
組織の作り方を考えるとき、
大きくふたつの方向性があります。
 
ひとつは、メンバー個々の意志や能力を見極め、
それが柔軟、かつ、自発的に活かされるように
役割機能を割り振り集団をつくるケース。
 
スタートアップに代表されるように
成し遂げたい同一の目的のもとに集まった、
「人をベースに組織を起こす」場合に
生きるやり方です。
 
しかし、ひとりひとりの能力を洗い出し、
最適な役割分担を決めるには
手間暇がかかります。
また、人と人の間では
能力の重なり合いがありますし、
機能の重複も起き得ます。
 
しかし、これを無駄と捉えず、
むしろ重なり合うことで
協働がより多角的で強くなると考える。
一見、無駄に見えることにこそ、うろうろアリの
もたらすイノベーションの源泉は存在します。
 
もうひとつは、
必要とされる役割機能を洗い出し、
その組み合わせから集団を組成するケース。
役割機能ごとにしかるべき能力を有する人を
任命していきます。
既存の組織や大きな集団、大企業などで生きる
やり方です。
 
しかし、ここにも落とし穴があります。
たとえ10の能力を有する人がいたとしても、
組織上の役割機能上、
7の部分しかフィットしなければ、
残りの3は発揮される場を失うということです。
 
特に、生産性を厳しく追及する
企業であればあるほど、それぞれの
役割機能をいかに効率よく果たすかが
評価軸となりますから、
3に関わりあってなどいられないことになる。
 
役割機能といった仮面の元に、
ひとりひとりが持つ個性や能力が
フルに活かされなくなってしまうのです。
これはもったいない話です。
 
この役割仮面地獄、
皆さんも何かしら思い当たる
経験があるのではないでしょうか。
例えば、大きな組織の中で仕事をするとき、
あるいは大きな組織の中にいる人を
相手に仕事をするとき。
 
この人はいったい何をしたいんだろう?
自分の意思はどこにあるんだろう? と
不思議に思うこと。
 
「個人的にはいいと思うんですけどね……」と
語尾が小さくなっていく会話。
 
「それは僕の担当ではないですから…」と
決められたこと以外はやろうとしない融通のなさ。
 
「でも、それは君の仕事じゃないだろう…」と
自分の役割を守ろうとする縄張り意識 。
 
この役割仮面地獄からひとりひとりが解き放たれ、
個性や能力を最大限に発揮できる組織や風土を
つくることが重要です。
それでこそ、うろうろアリが活きる組織、つまり
変化に強く、新たな価値を創造しイノベーションを
起こせる集団になっていくことができるのです。
 
これは実は、上述の、
人をベースにした組織でも、
機能をベースにした組織でも、
スタートアップでも、大企業でも、
僕は可能だと考えています。
そのあたりのことは次の次の回以降で述べていく
予定です。
 
うろうろアリ_story12_revised
 
★「うろうろアリでいこう!」の連載記事は、こちらからご覧頂けます。

唐川 靖弘プロフィール
外資系コンサル、広告代理店戦略プランニングディレクターを経て、2012年から米国コーネル大学ジョンソン経営大学院 Center for Sustainable Global Enterprise マネージングディレクターとして、多国籍企業による新規ビジネス開発プロジェクト・新市場開拓プロジェクトをリード。
同時に、「うろうろアリ」を育成することをモットーとし、自身の会社EdgeBridge LLCを基点に、ifs未来研究所(伊藤忠ファッションシステム)の外部研究員、ファッション系広告代理店戦略顧問、大手企業人材育成プログラムディレクター、大学の客員講師としても活動。1975年広島県生まれ。
Cornell University MBA (経営学修士)。INSEAD Executive Master in Coaching and Consulting for Change(2019年修了予定)。
160610_唐川さん

©2018 Yasuhiro Karakawa/EdgeBridge

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