未来のおしゃべり会

【10月29日 おしゃべり会・第3回】ブランドとは ライフのヒストリーである

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川島蓉子と社長の未来のおしゃべり会
ゲスト:糸井重里さん(株式会社東京糸井重里事務所)
開催日:2015年10月29日(木)

 
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川島蓉子(以下、川島):糸井さんにとって「ブランド」って何ですか?
 
糸井重里(以下、糸井): 『ほぼ日手帳』をつくる過程で、「手帳って何だろう?」と常々考えてきました。そうした中、東日本大震災で手帳をなくされた方たちに『ほぼ日手帳』を差し上げたら、とても喜ばれたころがあって。
手帳をなくしたことを、アルバムをなくしたことと同じように考えている方が多くいると知って、「手帳ってライフだな」とつくづく感じたんです。
 
それをもとに、去年は手帳のキャッチフレーズを「LIFEのBOOK」に、今年は「This is my LIFE.」にしました。これって、ブランドそのものだと思いませんか。
 
川島: どういうことでしょうか。
 
糸井: ブランドというのは、経営してきた人のヒストリーであり、無数のライフの積み重ねだと思うんです。5年しか経ってないけどブランドっていうものもあるし、ヒストリーってライフの集合体ですもんね。
 
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川島: ブランド化しようと思ってブランドって作れるものなのでしょうか。
 
糸井: お金もうけばかりを懸命にやってきたライフが集結したブランドもあれば、新商品を出し続けているのに老舗を守れているブランドもある。
そのどちらが優れているということではなく、お金もうけをすることや、新商品を出していくこと自体が彼らのヒストリーに組み込まれていて、それに共感する人たちが次の時代を支えているからこそ、ブランドになっているのだと思うんです。
 
川島: 私もいろいろな企業を取材しますが、一部の老舗の方はものすごくやっていますよね。新しいことへの挑戦ってどんなところでもあり得る。
 
糸井: その場合、新しいことをやるのは目的ではなく、生きていくための手段ですよね。
安定は必要ですが、究極の安定は「死」ですから。死なないためにも新しいことをやっていく。そうすることでブランドとしての人生を歩んでいると考えると、ブランドも「ライフ」であり、「生命」なのかもしれませんね。
 
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川島: より良く生きていくと結果新しくなるということなんですね。
 
さて、インタビューするかたに必ず定義してもらっていることがあって。
糸井さんにとってのデザインとは何でしょうか?
 
糸井: デザインの定義する領域はどんどん増えていますが、究極は都市計画だと思います。人間にとって住みやすい街や都市を考えることがデザインの行き着く先であり、そこから逆算して定義すると、デザインとは「生きる舞台をつくること」かな。
 
川島: 企業の中にいると、デザインってすごく軽視されているようにも思えて。デザインっていう言葉を使わない方が伝わるのかなって思います。
 
糸井: そういう時は、乗せる器をなくしても何かできるものだと思ってるんですか、と問うたらいいと思います。
 
デザインはすべての基盤になるほど大きなものだと思います。ライフを乗せる器かもしれない。そこが崩れていいものができるっていうことはあり得ない。
 
衣裳に見えるものに、その衣裳によって表現されている魂があります。そこにはどう見せたいというところに、何を感じて欲しいかということと、社会から見てどういう反応があるかということ、だから大元にあるのはその心ですよね。それが衣裳というコンテンツとして表れただけなんです。
 
ほぼ日では、クリエイティブの結果物としてできたものはすべて「コンテンツ」と呼んでいます。
 
そのコンテンツは商売っ気たっぷりに生み出されることもあると思います。つまり、その仮の衣裳が町に与える影響っていうことも素晴らしいゲームだと思う。もし嘘だとしても、その嘘はいい小説を書かれるようにその人によって語り継がれていくわけですよね。フィクションも魂ですから。
 
本質的にピュアなものだけではなく、流行とか商売も含めて、いい分量で「カモン!」って言っていく必要があるんです。
 
川島: そんなに簡単なものではないと。
 
糸井: 聖と俗が一体であるという部分に人間のやるせない表現が出てしまうところだと思っています。そのデザインについて、ナメたことを言われたくないわけですよね?
 
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川島: そうなんです! ナメたこと言われたくないんですよ。
 
糸井: でも、負けるが勝ちっていうこともあるし、煙に巻いている状態がいいことだってあるんです。一発殴るもありだし、抱きついちゃったら解決する場合だってある(笑)。だから、ラグビー見るといいんです(笑)。
 
川島: また、ラグビーに戻るんですか? 実は私ラグビーちょっと苦手なんですよね。
 
糸井: 苦手だって思うところには、何故嫌いかという理由があるはずで、そこに糸口がきっとあるんだと思います(笑)。何故?って思いながら見に行くと大抵のものが好きになれますよ。
 
川島: なるほど(笑)。反省しました。食わず嫌いがいけないんですね。
今日はありがとうございました!
  
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対談を振り返って ~川島所長のひとこと
 
憧れの糸井重里さんとの対談!
誰より緊張していた私の気持ちを緩めてくれたのは、他ならぬ糸井さんでした。
 
やわらかくもシャープな視点のもと、次々と紡ぎ出されてくる言葉の知恵、豊かな表情やしぐさに彩られたユーモア――それらが、ぐいぐい場の空気を動かしていく。
楽しい勢いに引っ張られ、聞き手であるはずの私も、途中からすっかり聴衆のひとりに。大好きな糸井さんに何でも聞いちゃおうと、懐に飛び込む気分で質問させていただきました。
 
「デザインとは何?」という問いかけに、「生きる舞台をつくること。すべての基盤になるほど大きなもの」という答えが。今までこの質問を投げかけた方の中でも、恐らく最大規模の回答。大きな構えでデザインをとらえるって、とても素敵なこと。
 
糸井さんの持っている引き出しが多すぎて、ちょっと消化不良なところもあったので、この続きをお願いし、「りょーかい!」というお返事、いただいています。乞うご期待。
 
ifs未来研究所 所長 川島蓉子
 
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