未来のおしゃべり会

【8月21日 未来のおしゃべり会・前編】女性の明るい未来、男性の明るい未来とは

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未来のおしゃべり会 ―女はとっくに輝いてる
●ゲスト:篠田 真貴子さん(株式会社ほぼ日 取締役 CFO管理部長)、大西 洋さん
●テーマ:女性の明るい未来、男性の明るい未来とは
●開催日:2017年8月21日(金)

川島蓉子(以下、川島): ifs未来研究所 所長の川島蓉子です。大西さん、篠田さん、今日はよろしくお願いします。
 
今回のおしゃべり会のテーマは、「女はとっくに輝いてる」。まず、なぜこのテーマにしたのか、なぜお二人に登壇をお願いしたのかを、お話したいと思います。
 
私は56歳なんですが、こwれまで「男だから」「女だから」という、働き方の違いに組しないでいたんです。でも、30年以上も仕事をしていると、「川島さんは、女だからいいよね」、というようなことを言われたりすることもありました。様々なところで、女性の活用や活躍と言われてはいますが、現実が全然ついて行っていない。
 
だから、そういうことをちょっとでも減らすために、何かできないかな、と思ったんです。そこで、今年の5月末に開催した未来研4周年イベントで、ほぼ日の篠田さんをゲストにお迎えしておしゃべりをしたところ、「ぜひ続きを聞きたい!」というお声を多く頂いたので、篠田さんに再登場頂くことになりました。
 
女性だけでやるのはあまり好きではないので、長いことお世話になっていた、そしてお世話になっていく、大西洋さんにお声掛けをしました。大西さんは、昔から女性応援隊なんです。男だから女だからと言うよりも、「もっとフラットになっていいんじゃないか」と、ごく普通に考えていらっしゃる。なので、今日は賑やかなおしゃべりを緩和して頂く応援隊として、ご登壇頂いています。
 
それでは、まず篠田さんから自己紹介をお願いします。
 
篠田真貴子(以下、篠田): 株式会社ほぼ日 取締役CFO管理部長の篠田です。私にとって、ほぼ日は5社目の会社で、2008年10月に、前身である東京糸井重里事務所に入社し、丸9年になります。バブル期の最後に大学を卒業して、日本長期信用銀行(現・新生銀行)のコース別採用で、総合職として入行しました。
 
川島: コース別採用?
 
篠田: 総合職と一般職の2コースです。要は、男性と同じように働く総合職か、制服を着てアシスタントをする一般職か。男女雇用機会均等法で、会社がコース別での採用を始めて、私は4期目くらいでの採用でした。
入行後、約4年で退社をして、アメリカに自腹で留学をした後、アメリカ系のコンサルティング会社と、ヨーロッパに本社がある会社の2社、所謂「外資系大企業」をぐるぐると転職するというキャリアでした。
 
その間に、子どもを2人出産しました。よくあるように、仕事は忙しくなるし、赤ん坊の世話は大変だし。世代的にも、「イクメン」という感じの夫ではないので、家族の仲は良いですが、「旦那が協力してくれたおかげで、私は仕事を続けることができました」ということでは、全く、全く、無いです。
 
川島: 旦那さんにも来てもらえばよかった(笑)。
 
篠田: 夫には夫の言い分があると思うんですけどね(笑)。そして、上の子が4歳、下の子が1歳になる前くらいに、ほぼ日に転職しました。
 
前回のおしゃべりでも、これまでの体験などをお話したら、面白がって頂けたようなので、本日もざっくばらんにお話できればと思います。よろしくお願いします。
篠田さん
川島: では、大西さん、よろしくお願いします。
 
大西洋(以下、大西): 大西洋です。よろしくお願いします。私は、39年間勤めた三越伊勢丹を6月21日付で離れました。それからまだ2ヶ月弱なのですが、1人になって改めて、自分が何もできないことが分かり、いかに周りの人に支えられてきたのかを実感しています。先日お話をした海外の方に、「You are jobless.」と言われたのですが、今、私には名刺が無いんですよね。
 
川島: joblessって自由で楽しいんですか?それとも、心許ないんですか?
 
大西: サラリーマンの頃の気持ちが残っていて、「自由で楽しい」という感覚は、まだ無いです。肩書が取れた瞬間に去る方もいる一方で、ずっと友達でいてくれる方も多く、夜の会食が今のメインジョブのよう(笑)。みなさんに感謝しなければならないですね。
 
川島: 大西さんは、それだけ人との関わりがとても強かったということですね。
登壇前に、3人で「あまり、男だから女だから、って言いたくないよね」という話をしました。それは、どちらが上かということではなくて、もっとフラットな状態で関わりあえればいいのに、なぜそうならないんだろう?と思うから。そこに、大きな問題があると思うんです。
 
篠田: フラットかどうかを意識しなくなったらいいですね。
 
川島: あ、なるほど。そうですね。
 
篠田: 私が初めて就職をした銀行は、就職の入口の段階で「男女」が明確に分かれていましたが、「総合職女性」は、ある意味で「男性」であることも求められます。
 
川島: 女性なんだけれども。
 
篠田: そうです。保守的な職場だったので、男性っぽくしないと認められないんです。それに、年次も足りないし。当時、男性社員も言っていた、「年次さえあれば、この提案は通るのに」、「あと10歳、年上だったら…」というのと同じように、私は「自分が男だったら、相手にされるのに」って、思っていました。
電話が掛かってきて、私が出ると、「男性社員いる?」って、普通に聞かれちゃう時代。だから、その頃「男女」って、すごく意識させられました。
 
川島: せざるを得なかった。
 
篠田: 私は、幸いにもアメリカに留学する機会があり、その後は少なくとも、会社の仕組みとして女性であるということで区別されることを経験せず、社会人としてやって来れました。
 
川島: そういう環境の方が、よほど居心地がいいですよね。
 
篠田: そうですね。基本的には、やるべきことをやっていればOKなので。
 
川島: 私は、逆にずっと男女が区別される環境で仕事をしてきて、「女だから、得することもあるな」とも思っているんです。最初は、上げ底をされることを嫌がっていたけれど、きちんと成立するのであれば、それはそれでアリかな、と。
 
特に、私は会社の中で、結婚して働き続けた第1号で、子どもを年子で2人生んでからも働き続けた第1号で、しつこく会社に居続けた第1号なので、「女性だから」と特別待遇されることもありました。だから、私は差を意識せざるを得なかったんですよね。
 
以前も、このことを相談したことがあるのですが…。大西さん、フラットな環境を作るには、どうしたらいいと思いますか?
 
大西: きっと、10年後にはものすごく変わると思うんですよ。
 
川島: 10年掛かりますか!?
 
大西: 完璧にフラットになるには、ね。今すぐにでも変えようと思えば、女性の登用を増やして、形だけは変えることができるけれど、篠田さんが仰っていたように、やがてそれを意識しなくなる時代が来る。そして、どこに行っても男性・女性という意識することがなく、男性と女性のバランスが上手く取れるようになるには、やはり10年くらい掛かるのかな、と思います。
 
私がずっと女性活用を唱えてきたのは、女性を特別にということではなく、能力や感性が優れているにもかかわらず、女性であるということで、正当な評価をされていなかったから、というのが1つの理由です。
 
川島: フェアではなかったんですね。
 
大西: はい。それを戻していく、ということなのだと思っています。
もう1つの理由は、経済界のトップ企業の9割以上が、男性社会であるということ。女性、女性と言われ始めてから数年経っていますが、変わっていない。
一方で、ベンチャー企業などの今伸びている会社は変わりつつあり、霞が関は、女性が活躍できるような雰囲気になってきています。
 
だから、一番変わらないといけないのは、大企業。ただ、お二人も経験されたように、女性は出産をする可能性がある。それを会社が全部飲み込んで、フェアに適材適所で、男女を意識することなくできればいいと思うんですが、時間は少し掛かりますね。
大西さん
川島: 結婚は、ある程度は想定可能ですが、子どもは、思いもよらない瞬間に授かるし、出てきてみたら、思い通りにならないことばかりで…。
 
篠田: 出て来た瞬間、しまった!と言う感じですよね。戻すわけにもいかないし(笑)。
 
川島: だから、制度があっても個別の事情が異なって、会社も戸惑っている感じなんですよね。ほぼ日では、どのようにしているんですか?
 
篠田: ほぼ日は、会社が大きくなったと言っても、社員が70数名。アルバイトなどを含めて、約100名の小さな会社です。そして、「基本、裁量労働ができるようになってください」というのが、会社の方針です。
 
川島: どういうことですか?
 
篠田: ほぼ日は、創業者の糸井重里が、フリーランスと提携する形で作った会社なので、「働き方=フリーランス」の会社なんです。でも、例えば、新卒で入社された方が、いきなり自己管理を求められる働き方はできないですよね。なので、経験の浅い方はフレックスにして、先輩たちの監督のもとに仕事をしながら、自己裁量を目指しています。
 
任された仕事を、自分がやったタイミングでアウトプットさえすれば、どこでどう仕事をしてもOK、という考え方がほぼ日の風土の基礎です。なので、ほぼ日では、仮に出産や育児によって、会社にいる時間が短くなっても、その責務を全うするやり方を一緒に考えていきます。
 
川島: 誰が一緒に考えるんですか? 素晴らしいですね。
 
篠田: 人事や、その人の上司に当たる人が、一緒に考えます。社員が70名しかいないので、1人欠けると大変なんです。7,000名の社員がいる会社と比べると、影響は100倍ですから。
だから、お子さんがいても、なんとか同じようにアウトプットを続けて頂くことは、みんなにとって嬉しいこと。制度は普通なんですが、それをいかに使うかということに対しては、柔軟に対応していると思います。
 
川島: 個人に対応して。
 
篠田: そうですね。もう一人の女性役員も子持ちなので、育児中に何ができるか、ということも分かります。例えば、「授乳しながら、メールは打てる」とか。
 
川島: 極端に言えば、その人は在宅勤務でもOKということですか?
 
篠田: OKです。環境があって、本人のやる気さえあれば、そういうセットアップをしてやってもらいます。
 
川島: 出産・育児の期間、会社とどのように関わっていくかというのは、一つの問題でもありますよね。そこを過ぎると、またいろんなことが可能になってきますが。
 
篠田: 確かに、出産は女性にしかできないことですが、育児は男女関係なくできる。乳児のとき、特に0~3歳頃までは、きちんと愛情を掛けていれば、誰が育てても大丈夫だ、と私は思っています。
 
だから、赤ん坊を触ったこともない素人の私よりも、保育士さんの方がよほど安心。適切な量の離乳食を適切なタイミングで与えてくれて、適切なタイミングでオムツを換えてくれるので、子どもにとってもそっちの方がいいと思います。
 
川島: 私は、子育てをしながら仕事を続けた第1号なので、異例扱い。とても一人では育てることができなくて、ベビーシッターさんと、夫と、姑と一緒に4人で育てました。だから、子どもたちには、母親に対する尊敬が無くて(笑)。
 
「カレーは、○○のが一番美味しい!」とか、母として寂しさを感じることもあったけれど、誰かがきちんと愛情を注げばいいのかなとも思いますね。
 
篠田: 中学2年生と小学4年生の子どもたちを見ていて思うんですが、大きくなってからの方が、親が見ていないとダメなのかな、って。
 
川島: どうしてですか?
 
篠田: 「何をダメと言うか」、「何を頑張れと言うか」って、家庭によって違いますよね。例えば、元気でさえいればいいのか、さすがにこの成績ではマズいと言うのかは、やっぱり親の判断かな、と思って。
 
大西: 自分が小さい頃のことを思い返すと、母親の姿は記憶に残っています。もしかすると、特に男の子はそうなのかもしれませんが。
 
三越伊勢丹の女性社員を見ていても、昔は産後1~2年後に復帰をする方が多かったのに、今では3~4ヶ月で復帰する方がほとんど。これは、篠田さんのお話にもあったように、個人の考え方だと思うんです。
例え、自分に時間を割いてくれなかったとしても、母親が「仕事をしている」、「活躍している」姿を見ることができるのは大きい気がしています。
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篠田: 私の子どもたちが通っていた保育園は、ほとんどの園児が生後6ヶ月未満から通っていました。同じ小学校に入学した子たちを見ても、小さな頃からお母さんと離れて保育園で育ったからといって、他のお子さんと比べて発達が遅いとか、何か不安定だということは無かったです。
 
そして、私の場合は、乳児の相手よりも仕事が好きで、仕事をしていない自分にあまり価値を見いだせなかったり、誇りを持てないところが正直あって。早く復職したいと思っていたのは、そうしたことも理由の1つです。
一般論で、子どもを産んだ瞬間、あまりの可愛さに離れたくなくなるのが女性の本能、というようなことも言われますが、これも人によると思います。
 
川島: 私は、男性も育児を経験してみるのは良いことだと思っています。一生にそうそうできる経験ではないので、奥様だけに委ねず、関わるのはとても大事なこと。
我が家では、夫も育児に関わっていて、子どもたちからも尊敬されています。それは、小さな頃にケアしてくれたことが関係しているんじゃないかな、と思っていますし、今でも夫には感謝しています。
 
篠田: 赤ん坊がいる生活を経験するだけで、結構成長させられます。
 
川島: 本当、そうですよね。いろいろな見方が変わったり。
 
篠田: それが、仕事でもプラスになったり。私は、そういう経験がたくさんありました。
また、経営職の立場からすると、出産休暇と育児休暇を取って、その後また戻ってきてくれた社員は、本当にありがたい。明らかに、人間的にも成長していますから。
 
川島: 明らかにありますか? どんな成長ですか?
 
篠田: まず、優先順位付けが上手になる。時間があると、お金と同じで無駄遣いしてしまうんですよね。でも、時間が限られることで、やるべきことを整理できるようになります。
 
そして、世の中や人に対する見方の幅が広がる気がします。私自身もそうだったし、男女限らず、様々なことを慮ることができる人になっていく。それだけで、会社として、同僚として、「こんな人がもっと増えたらいいのに!」と思います。
 
川島: 働き方は、いろいろあっていいと思うんです。決められた勤務時間や、年齢による昇進などが変わりつつあるのは、みんななんとなく分かっている。じゃあ、そうなったときに、どこに自分の幸せ感を見つけたらいいんでしょうか?
 
篠田: 何が幸せかっていうのは、一人ひとり違う。逆に、川島さんが今仰ったような、何歳で偉くなって…というのは、本当に幸せだったんですかね? それが幸せとイコールかどうかというのは、私には何とも。
 
川島: 大西さん、いかがですか?
 
大西: きっと、そういうことに幸せを感じる人はたくさんいたと思います。7年で係長になって、14~15年で課長になって、部長になって…と、そこから先はともかくとして、キャリアアップが幸せだという方、特に男性に多いと思います。今でも。
 
篠田: 私は、今年で49歳なんですが、ここ数年、学生時代の男性の友人から相談を受けることがあるんです。年齢的に部長は見えてきたけれど、その先は無さそうだということが分かったとき、そこで初めて「はて、自分の人生は?」と思う、と。
 
彼らが私に相談してくる内容は、総じて、私が30歳のときに全部考えたことなんです。私がそのタイミングで考えたきっかけは、出産。私は、極めてキャリア志向だったので、男性とくらべて遜色ないキャリアを積んでいくという明確な目標に対して、「出産」をどう扱ったらいいのかが分からなくて。でも、子どもも欲しかったんです。
 
川島: 自分のために考えたんですね。
 
篠田: めちゃくちゃ考えました。だから、今相談しにくる男性の友人に対しては「それを今考えてるの?」って感じ(笑)。きっと、彼らもそれを分かっているから、私に話を聞きに来るんだと思うんですけれど。「今までは、部長になれたら幸せだと思ってたわけ?(笑)」みたいなところから、話しが始まるんですよね。
 
大西: 今と違う自分を将来に描けるうちは、楽しいというか、モチベーションが支える。いいとか悪いとかではなくて、自分の将来を描けなくなったとき、篠田さんの相談相手の方のようになるのでしょうね。自己実現と仕事が一致しているのは、男性特有のような気がします。
 
川島: それは、男性特有のことなのでしょうか。女性は、自己実現と仕事が一致しているものですか?
 
篠田: うーん、難しいですね…。企業では、仕事で成果を出した人に、お金、あるいは地位という報酬を与え、社員のモチベーションを上げていますが、これは世界中同じ。男女の違いかは分かりませんが、男性の方がそういう報酬を好む傾向にあるのかな、と。
私は、自分はそれでモチベーションが上がる人だと思っていたのに、そうじゃないという事実に直面して、驚愕しました。
 
川島: 驚愕しなくてもいいじゃない(笑)。

 篠田: 「私は、そういう社会で頑張ってきた!これからも頑張る!」という自己イメージでやってきたのが、どうでも良くなっちゃったんですよね。当時は、まだ30代だったから、モチベーションが湧かないのに、この先ずっと組織の中でやっていくなんて、お先真っ暗だな、と思って。
 
川島: そのとき、何が「次の光」って思ったんですか?
 
篠田: いや、無いです。光だと思えるモノが無いので、騙し騙し。個々の仕事は頑張ってやるし、成果を出して褒められることもあったんだけど、「よくやったね!じゃあ、もう一段昇格!」と言われても、「ええ~?」って。
 
川島: 自分がやってみたいことや、やれそうなことをやるというのが、自己実現のシンプルな答えだと思っていて。自分の歴史を振り返ってみると、ほとんどそういう感じです。
一方で、お金をもらっているので、誰かの役に立ったり、できれば社会の役に立って、相手の方から「ありがとう」と言ってもらえると嬉しい。

 
レポート後編に続く

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