未来のおしゃべり会

【8月21日 未来のおしゃべり会・後編】女性の明るい未来、男性の明るい未来とは

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未来のおしゃべり会 ―女はとっくに輝いてる
●ゲスト:篠田 真貴子さん(株式会社ほぼ日 取締役 CFO管理部長)、大西 洋さん
●テーマ:女性の明るい未来、男性の明るい未来とは
●開催日:2017年8月21日(金)

川島: 先ほど、登壇前の控室でも、協調する感覚と、何かのケアをする感覚が一緒にあって、両方が大切という話を、3人でしていました。
 
篠田: ここで、ちょっと宣伝していいですか? 今年の7月に日本語の翻訳本が発売された『Unfinished Business -仕事と家庭は両立できない?「女性が輝く社会」のウソとホント』という本の解説を書かせて頂いたんです。
 
川島: サブタイトルが、またいいですよね。
 
篠田: そうなんです。「仕事と家庭は両立できない?」と、やや女性目線に見えちゃうんですが、実はもう少し普遍的な話なんです。著者のアン=マリー・スローターさんは、アメリカ人女性で、プリンストン大学の政治学の先生で、学部長も務めた方なんですが、オバマ大統領だった時代に、ホワイトハウスの高官も務められたんです。
 
50代後半くらいで、アメリカで、「女性が男性並みに活躍する」という第一世代。それこそ、「仕事と家庭の両立は可能だ」、「女でも、望めばキャリアでも何でも手に入れられる」と言われて育った世代の方です。
 
ホワイトハウスの高官に抜擢されたとき、張り切って単身赴任をしたんです。彼女には、お子さんが2人いるのですが、単身赴任をきっかけに、中学生の子どもの問題行動が始まった。ホワイトハウスでの会議中、警察から電話が掛かってきて、子どもを引き取りに飛んで帰る、というようなことが重なって。
 
彼女は、「このキャリア以上に、子どもたちと向き合って、子どもが成人するまでの数年間を、家庭中心で過ごしたい」と考えを変えて、2年でホワイトハウスの仕事を辞めるんです。その経験をもとに、「仕事と家庭が両立できるなんていうのは、ただの神話じゃないか」と雑誌で発表し、それが賛否両論、ものすごい騒ぎになったんです。女性活躍の最前線のような人なので。
 
先ほど、川島さんも仰った様に、仕事と家庭という対立軸で捉えると、問題の本質を見失ってしまう。人間社会は、古代から、競争とケアの両輪で発達をしてきましたが、現代のアメリカ社会は、競争ばかりに価値を置いて、ケアの価値を過剰に低く見ていることに問題があるのではないか、ということに気が付いた…、という本なんです。
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川島: つまり、競争がダメだというのではなく、競争とケアの両方が大事だという事ですね。
 
篠田: 育児や家庭などのケアの部分が、あまりに価値を認められていないんですよね。「ケアは、個人の価値観の中でやること」、という風に「個人」に押し付けてしまっている。でも、職場や、社会のモノとして育むことだと、もう一度位置付けをし直さないとダメなんじゃないの?と、思っています。
 
川島: ほぼ日では、競争とケアの両方ができている、という感じですか?

篠田: そうですね。よりバランス良く、ケアも視野に入っていると思います。

川島: ほぼ日で言う、ケアとは何ですか?

篠田: 仕事全部です。ほぼ日では、コンテンツを作ってみなさんに読んで頂いたり、商品化をしたモノを買って頂いたりしているのですが、私たちが作るモノ、発信するモノを、どなたかの心に届けるのは、ケアを土台にしなければできないこと。
社員は、そういう仕事の仕方を自然にやってきているので、同僚に対して仕事のアウトプットを求めると同時に、家族を含めての生活であるという互いのケアも、当然のように視野に入っている職場だと思います。
 
川島: 一方で、いい意味で競争をさせるために、どんなことをしているんですか?
 
篠田: 社内には、何がいいコンテンツかという共通認識があるので、いいアイデアには、みんな大喜びして、めちゃめちゃ褒めます。いいコンテンツ=利益を上げたコンテンツ、ということでは、必ずしもないです。
 
川島: 悪いコンテンツや、出来が悪い場合は?
 
篠田: スルー。無視です(笑)。極端な話、糸井重里のアイデアですら、あまり面白くないモノは社内で広まらないので、平等といれば平等。ほぼ日は、インターネット上でやっている事業なので、どの商品が売れているかという数字的なことも、社員はお互いにガラス張りの状態です。そういった意味で、健全な競争が自然にできています。
 
川島: 競争って評価と一体だから、いい競争をしたら、いい評価を得たいと思うじゃないですか。そもそも企業の中では、利益やアクセス数といった、数字的なことが分かりやすい。でも、そうではないところでも評価を得たいとも思う。難しいですよね。
 
大西: ものすごく難しい。従来の日本の経済社会では、業績を上げて、価値を上げることによって企業成長するというプロセスがあり、企業成長した部分をみんなで分け合うことで、モチベーションを上げていました。
 
でも今は、どれだけの時間働いたかということではなく、どれだけ自分がアウトプットできるかが重要。決まった仕事を一生懸命やっていればアウトプットができるという時代ではなくなってきていて、遊んだり、自分がリラックスして心地良さを感じる環境に、実はアウトプットの土壌がある時代です。ある程度は、仕事とプライベートの垣根も大事ですが、その境が無くなりつつあると感じています。
 
そして、昇格をすると、権限と責任が同時についてきますが、そのバランスも、これから少しずつ変わっていくと思います。縛りが無い中で、どれだけのアウトプットが出せるか。小さな企業であれば、その中ですぐに大きな利益を生み出すことができます。
組織やチームってとても大事で、ひとつひとつの小さな組織が合わさって、ワークショップ型で仕事をしていく時代だと思っています。
 
川島: そういうときって、クリエイティブの創造性とイマジネーションの想像性の両方が必要だと思うんです。経営者の方から、「そもそも、そういうのって苦手」、「どうやったら創造的になれるんだろう?」と相談を受けることもあるのですが、本来は、そうした発想や感覚を持っているんだけれど、ずっと蓋をしちゃっているのかな、と。
 
新しいお店ができて、多くの人が足を運んでいる姿を見ていると、人間の好奇心ってすごい!、と思うんです。本当は、新しいことでワクワクしたいし、ドキドキしたいんだけれど、それを自ら「やっていいんだろうか」と踏みとどまらせてしまう力学が、組織にはあるような気がします。
 
大西: それはありますね。大きな組織の中では活躍できなかった人が、組織を出た瞬間に大きい仕事をする、というケースもたくさん見てきました。
 
篠田: 少し話がズレるんですけど、夫のおかしな行動を思い出しちゃいました。
 
川島: 聞きたい聞きたい。旦那さん、ここにはいないから(笑)。
 
篠田: いても全然するけど(笑)。私の夫は、大企業でキャリアを積んでいるサラリーマンなんですが、私から見ると、本当に「それ用」に人格ができています。
 
例えば、「家族でプールへ行こう!」となると、夫は張り切れば張り切るほど、仕事のように計画を立てる。「よし、6時52分の電車に乗るぞ!」とか言って、全然楽しそうな顔をしていない(笑)。本人は、その目標を遂行する達成感で嬉しいんだけれど、せっかくの楽しいお出掛けが、すごくシリアスな感じになっちゃって。
 
きっと、職場がそういう感じなんですね。楽しみ方がクリエイティブじゃない方。
 
大西: 仕事でも、少し遊びの感覚を持ちながら仕事をするとか、逆転するといいんじゃないかと。でも、なかなかそうならないですね。
 
川島: なぜなんでしょうか?
 
篠田: 大西さんは、大企業の経営に携わっていた方なので、自然とそういう行動ができるタイプだった可能性が。上手くできた方のお手本なのかもしれませんね。
 
大西: そんなことは…(笑)。男性、女性ということではないのかもしれませんが、男性は、自分のポジションを何とか守るために、そのフォーマットの中できちんと働いていくことを必須条件として捉えてしまいがちなんですよね。
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川島: 「きちんと働くこと」が求められていた社会が、これから柔らかく変わろうというとしている。きちんとしていることも、変わっていることも両方必要で、それによって変化をしていくんじゃないかな、と思います。
 
篠田: それは、自分の身をどこに置くかで大きく変わると思います。私は、ほぼ日の中では、きちんとしている方だと思うんですけれど、以前勤めていた会社では変わっている方でした。フレックス制でもないのに、「ひとりフレックス」とか言って出勤時間を守らない感じだったので。同じ人でも、違う職場にいけば、クリエイティブな人として重宝される可能性もあると思います。
 
私は、34歳のとき、コンサルティング会社からメーカーに転職をしました。コンサルティング会社を続けたい想いもあったんですが、ものすごく雑に言うと、私の評価が「とても面白くていい人なんだけれど、バカだ」というものだったからです(笑)。
 
川島: 本当ですか?(笑)
 
篠田: はい。コンサルティング会社では、そういう評価を受けていたのですが、メーカーに転職して半年後の人事評価では、「ものすごく頭がいいけれど、人あたりが悪い」と言われました。半年で、私の人格が180度変わるわけはないので、全く違う場所に移ったから、違う評価を受けた、ということ。結局、その組織に求められる社員かどうかですよね。
 
会社の評価や会社の成長と言っても、私が同じ方向を向いているかは分からないので、それは自分で決めないといけないんだな、と思いました。
 
川島: そうですね。そしてこれからは、その環境をますます自由に選べる時代になっていくと思います。でも、何がフィットしているかさえ、分かっているようで分かっていない。大西さんが仰っていた、自分が変わっていく可能性が見えるかどうかが、仕事の原動力というお話が、私は腑に落ちました。
 
篠田: 本当にそうですね。
 
川島: それは、歳を重ねても、意外と変わらない。分かっているようで、永遠に分からない。大西さんは、これからどういう風に変わっていこうと思っていらっしゃいますか?
 
大西: まず、私にとっての大きな変化は、長く勤めた企業を離れたこと。以前の仕事ではできなかったことや、このタイミングでこういう機会があって良かったと思えるようなことをしていきたいです。どういう風に変わっていきたいかは、まだ定義することができていないので、これから考えていきたいです。
 
川島: これからは、働き方や暮らし方、つまりワークとライフがすごく変わっていく。それがどうなっていったら、みんながちょっとでも幸せになれるのかを前向きに話し合う場として、おしゃべり会を継続していきたいと思います。本日はありがとうございました。

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